思いやりの気持ち

私が新入社員の頃の出来事です。
私は一応、会社のお偉いさんの秘書として雇って貰い始めたばかりの頃です。
お客様用のお菓子を用意しなければいけませんでした。入ったばかりで、いったいどこのお菓子を用意するのがふさわしいのか、聞く先輩すらいませんでした。
先方さんは何度もいらっしゃっているようで、地元の有名なお菓子屋さんのお菓子は、既に召し上がったことがあるだろうし「またこれか」と重複してはいけないだろう…。そう思って、地元に長くあるお店でも、有名所ではないお店に伺いました。
ご夫婦で細々と経営されているようなお店です。
私は伺ってみたのは良いけれども、いったいどのお菓子がおススメなのかも分からなかったので、失礼ながら「おススメのお菓子は?」と奥様に尋ねました。そしたら、「うちのオススメは、これとこれなんですよー」っとにこやかにオススメしてくださいました。
なので、迷いもなく「では、それをお願いします」とお支払いしようとしたら、お財布から小銭がジャラジャラとこぼれ落ちてしまって、ショーケースの下にまで入ってしまい…。
私は恥ずかしいやら、たぶんこの中に入ってしまった小銭は回収できないだろう…という気持ちで青ざめました…。そしたら、奥様が「あらあら」と焦る私とは裏腹に「ちょっと待っててね」と長い定規のようなものを探してきてくださって、床に顔をくっつけながら、その定規のようなもので、一生懸命小銭を回収してくれたのです。
もう、申し訳ない感情しかなくて「いやいや、いいんですいいんです!」と言いましたが、「たぶんこれで全部あると思います」とかき集めてくださいました。その時の申し訳なさもあって、その後もお客様用のお菓子をそちらで購入するようになったのですが、来てくださるお客様から好評で。
決して有名所という感じではないけれども、長く続けていられるのは、こういう思いやりの気持ちが根底にあるからなのだと気づかされました。
大好きなお店ですが、SNSで拡散されては困るので、「知る人ぞ知るお店」として、いつまでも頑張って頂きたいと思います。


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